2016年7月12日火曜日

責務

結局、新たに選挙権が付与された18~19歳の投票率はメディアの大騒ぎにも拘らず、”笛吹けど踊らず”でした。
参院選の18~19歳投票率45.45% 平均大きく下回る
この数値はサンプル調査の結果ですが、まぁ、妥当なところでしょうか。彼等の親世代となる、40歳、50代の投票率は各々、51.66、61.77%(H.25参院選データ)ですからその数字を上回る道理がありません。
親が投票に行かなきゃ子も行かない
ということです。

だ、18歳で51.17%、19歳で39.66%という結果も含めて更なる分析、考察を期待したい処です。

両親、親族の投票行動と共に、18~19歳有権者の属性、例えば、家族との同居/別居、就業者/非就業者、非就業者であっても高校生/大学生/専門学校生/予備校生/その他、によっても投票率は影響を受けるのではないかと考えます。

その差は、

――就職や大学進学の時期を迎える19歳の投票率が特に低かった――
という見方もありますが、
18歳の有権者は学生であればほとんどが高校生
ということも理由の一つではないだろうかと思料しています。19歳の有権者ですと大学生だったり就業者だったりと高校生はいなくなり、20歳代の投票率33.37%へと近づいていくと。

勿論、今回の18歳有権者が、改正公職選挙法が適用された初めての18歳有権者でしたから、特に周囲から注目された、当人が意識した結果と見ることはできます。ただ、高校からの啓蒙も一定程度効果があったのではないでしょうか。こちらも”初”という意味で力が入っている、下駄が履かされている結果かもしれませんが。

とはいえ、投票率向上の方策として、公教育において主権者としての権利と義務を伝えることの重要性を感じた次第です。勿論この時学校側が政治的中立を保ち、各学生の思想信条に立ち入らないのは言うまでもないことです。ただ、ここが最も危うのかもしれません。

ところで、この18歳選挙権に関し、当事者である18~19歳の有権者へのインタビューやアンケートを見聞すると、極めて多くの”わからない”が並んでいます。

NHKによる、
18歳選挙権 世論調査の結果は
では、
自分が選挙で投票することに、戸惑いや不安がある
とした回答者は、
政治についてよくわからないから
どの政党や候補者に投票すべきかわからないから
選挙結果がどのような影響をもたらすかわからないから
その理由を挙げています。

少し前のエントリ、
18歳選挙権は本当に必要?「政治に関心がない」10代の若者たちと民主党・枝野幹事長が議論
でも、”興味がない”、”わからない”が続出しています。

こういった”興味がない”、”わからない”に対して、無関心、無知、不勉強を責め、批判する声をしばしば耳にします。
「選挙よりパンケーキ」 テレ朝「投票に行かなかった理由」特集の波紋
は直近の例でしょうか。選挙に行かない理由を揶揄し、年配視聴者に優越感を抱かせるには恰好の題材です。

ただ、十把一絡げに選挙に行かない奴が悪い、無関心は良くないと、一方的に責めることには首肯できません”興味がない”、”わからない”は若年層だけの話ではありませんから。

我国日本は、曲がりなりにも民主主義国家を標榜しています。であるならば、冒頭に挙げた低い投票率と共に、その理由の一つであろう若年層を含めた多くの有権者の”興味がない”、”わからない”に、国家は真摯に向き合う責務があると考えます。

選挙軽視を面白おかしく取り上げた、上記番組の紹介事例などはともかくとしてです。全ての”わからない”についてということではありません。

民主主義社会においては、その実現、維持のために選挙が欠くべからざる手続きであるのは言うまでもないことです。民意を問い、社会が意思決定するための、民主主義を支える唯一の手段です。しかしながら、投票率が低い中での選挙の結果は必ずしも社会全体が決定した意志ではありません。あくまで、票を投じた集団の意志です。

では、票を投じなかった、棄権した集団の意志はどうなのでしょうか。現状では、白票等無効票を投じた集団と合わせて白紙委任、といった扱いにされているかと。つまり、全ての棄権、無効票に対して、”特定の候補を推す意志はないが、結果は受け入れる”が押し付けられているわけです。

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