2015年11月3日火曜日

販促

巷間、横浜傾きマンション問題の話題で持ちきりです。収束の兆しは一向に見られません。

一方、ネット上では密かにステマの疑念が払拭できないノンクレジット(広告主の名前を表記しないこと)広告の話題が、こちらも依然燻り続けています。下記は代表例です。
ベクトル社が名指しステマ記事にホームラン級にアレな反論をして広告業界大困惑の巻
思ったところを少し。

広告は物品、サービスといった商品の販売側が売上を上げるための手段です。ところが、売り手側からの商品の情報提供はしばしば誇大広告になりがちで、商品の価値が底上げされています。様々な媒体に掲載された広告による商品選択、消費活動を通じて、消費者側も売り手側から発信される広告の欺瞞性をなんとなく感じ取っているわけです。

そこで、ウェブ上だけでなくテレビ、ラジオ、雑誌といったあらゆる媒体で、消費者側からの声、いわゆる口コミや、専門家と称されるライターのレビュー、比較記事が重用され、広告としての役割を担わされるようになってきています。

使用者としての評価は購入者の側に立った有用な情報、専門家としての評価は客観的な情報であり、商品選択、購入の判断に大きな影響を与えます。

で、こういった情報の発信者と販売側に何らかの金銭の授受があった場合には、情報の真偽、信頼性如何に関わらず、当該情報にはその旨表示せよ、という話です。

この時、風味、面白さ、洗練、格好といった主観に基づく評価はともかく、計測可能な仕様情報の提供に対してすらそういった扱いが要求されるのだろうか、との思いが去来しました。例えば、長さ、重さ、速さ、時間、温度といった客観評価には恣意性は込められないんじゃないかと...

例えば、上記エントリ中でリンクされている、
【ステマ症候群:拡大版】iPhone商戦の陰で広がるステマ記事発注の舞台裏
では、
記事の書き手は、東京メトロ銀座線の各駅で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクという通信3社それぞれのiPhone6sの通信速度をアプリで計測。その結果、銀座線の19駅のうち13駅においてau(KDDI)が勝利したと調査結果を掲載している。
とあるのですが、誰が測定しても同じ値となる測定法を採用しているならば問題ないのでは、と思った次第です。広告主であるKDDIでも競合となるドコモ、ソフトバンクのいずれが測定しても測定値の優劣に揺るぎがない、そういった客観的手法で得られた、事実を用いた記事ならばノンクレジットでも容認できるのではないか、ということです。

とは言うものの、理想に過ぎない話でしょうか。昨今の様々な企業不正を鑑みれば、測定値ですらその信憑性に疑問符を付けざるを得ないのが実状です。測定値の改竄、流用(旭化成建材杭打ち問題)、不正ソフトによる規制クリア(VW排ガス不正)などが明らかになっていますから。

不正とは断定されずとも、評価に際し、”当社比”従来比”同クラス内での比較当社測定による、等の枕詞は頻繁に目にします。さすがに、数値で表示される評価で”個人の感想です”といった注釈を見たことはありませんが...

いずれにせよ、企業倫理の問題に行き着く話です。ステマだとか誤認といった欺瞞的な広告以前の不正事件が頻発している現状です。違法ではないノンクレジット広告、ステマを自粛すべきと認識する、そういった誠実さを企業にどこまで期待できるのか、疑念を拭えないでいます。 

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