2015年2月20日金曜日

失格

――アフリカ共和国の実情を知って以来、私は居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった。――
産経新聞に掲載された作家曽野綾子氏のコラムの問題部分です。

素直に受け止めて、人種隔離アパルトヘイト)推奨以外の何物でもないわけです。

で、批判に対して、
――個人の経験を書いているだけ――
 と弁明し、
――私は文章の中でアパルトヘイト政策を日本で行うよう提唱してなどいません――
と反論しても作家としての資質が疑われるに過ぎません。

少子高齢化に伴う日本の労働力不足、その対処法として移民を取り上げることも、更に移民政策について論じるに当り南アフリカ共和国の事例を持ち出すことも思慮不足の感を否めません。

率直に言えば、頭悪いなぁ、オピニオンリーダなどと持て囃して大丈夫か、ということです。正に老害の典型かと。

移民政策云々に講釈垂れる前に、そういった日本に至らしめた年長者としての自省、責任といったものを微塵も感じさせない身勝手さにただ驚くばかりです。

丁度、戦時下のシリーズが放送中の朝ドラ、”マッサン”で描写されている、軍や警察?、特高?の姿勢に似たものを感じます。
省みない、考えない、想定しない
これまでの失敗、苦難を経ても日本は相変わらずということでしょうか。賢くなった、という実感を持てないでいます。

いずれにせよ曽野綾子氏については、自らの意図を読者に忠実に伝える能力が欠如しているのか、或いは、本質的にそういった思いがあった、ということかもしれません。

発言を読むほどに、自らの文章が読者にどのように受け止められるかを、想像しない、することのできない作家の傲慢さが伝わってきます。

本を読もうというモチベーションを減退させます。まぁ、元々それ程の意欲は持ち合わせていませんが...

この話題はルキウスさんも言及しているわけですが、
――日本人とくに小市民の事なかれ主義をくすぐるように煽る老人の醜悪さが滲み出ている――
自身の独善性を”尤もらしさ”というオブラートで包み、それを恰も正論の如く押し通す...うんざりです。 

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